2015年06月29日

Ducati 試乗会 Hypermotard 試乗レポート




イタリア製ブランドと言えば、舶来信仰のある日本においてはいまだに高値の花といった印象があります。バイク業界でも同じで、イタリア製バイクはデザインが優雅で高価というイメージがあり、実際にそうです。そのイタリア製バイクの代名詞とも言えるブランドがDucatiです。そのDucatiが販売プロモーションを兼ねて試乗会を行いましたので、参加してきました。その様子をレポートしてみたいと思います。



まず指定の場所に着くと、巨大なDucatiの赤いトレーラーがありました。それをベースにテントを張ってステージと受付がセットアップされています。受付嬢はスタイルのいいイタリア系のモデルで接客態度もすばらしく、さすがイタリア、格好つけるのは絶対に忘れません。その横にはDucati製のバイクがズラリと並んでいました。







以前、私は発表直後からチェックしていたモデル、Diavelに試乗しましたので、今回はHypermotardというモデルをピックアップします。



Hypermotardはセミオフロードバイクで、跨ってみると若干前傾姿勢になります。これはトルクがあって軽量なため、前輪が浮くのに対抗したライディング・ポジションだと説明されました。それにしても排気量821ccの大型バイクとは思えないほどコンパクトです。



約20台のDucatiにそれぞれライダーが乗ってエンジンをかけます。すごい迫力です。ところが全員がサムアップで準備OKのサインを出す段階(空挺降下直前のAll OKに似ている感じです)になってとんでもない事が起きました。スイッチ類をチェックしていたら、何とウインカースイッチがポロリと外れたのです。2015年の新車でまだ2000キロしか走ってないはずなんですが…『おーい、頼むぜDucati、イタリア製!』と叫びたくなりました。



結局ウインカー無しで走る事となりましたが、コンパクトなバイクなので取り回しは楽でした。あと私の愛車Vmaxと比較して車体が細いので、膝で挟んでの車体コントロールが楽です。ただやはり軽量なので、横風に流されます。私の体重(96kg)ですらそうなのですから、軽い人はもっと流されるでしょう。よって高速道路を走っての長距離ツーリングには不向きです。
アクセルのレスポンスはちょうどよく、ブレーキもABSが標準装備されてるので安全です。わざと急ブレーキをかけてみましたが、問題なく止まりました。
総合的な意見をまとめますと、平均体型の日本人(175cm/70kg以下)にはお奨めです。自分(181cm/96kg)にはちょっと小さすぎました。自分がこのタイプのバイクをがこのタイプのバイクを購入するとしたら、もうひとまわり大きいMultistrada(1200cc)を選択するでしょう。あと最後に付け加えますと、シート後部がかなり鋭角に上がっているので、二人乗りはあまり奨められるバイクではありません。(基本的にはどのバイクも二人乗りは推奨できないのですが)
総合的には合格点以上のバイクでした。気になる価格ですが、米国では定価が$13,795ドルとなっています。やはり安くはないです。ヤマハのバイクでしたら、スーパー・テネレが買える価格です。ですが、イタリア製にこだわる人には高くはない価格かもしれません。

試乗が終わり、自分のVmaxを走らせた時、『あー、ヤッパリ自分にはVmaxが合ってるなあ…』と改めて感じました。皆さんも自分に合ったバイクを見つけてください。Ducati Hypermotardは、多くの日本人に合ったバイクかもしれません。機会があればぜひ試乗してみて下さい。

飯柴

  

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2015年06月28日

B&T VP-9 消音特殊ピストル

引き続きスイスB&T社の製品をご紹介します。
これも非常に特殊な銃器で、今回は拳銃です。


B&T VP-9 消音特殊ピストル

現代の拳銃と言えば、大まかに半自動と回転式の二つに分別できますが、この拳銃はどちらにも属しません。
ではどのように特殊なのか、説明していきたいと思います。
VP-9とはVeterinary Pistol 9mmの略です。つまり『獣医が動物を安楽死させるための拳銃』というのが建前です。
では本音は何か、それは音も無く敵に致命傷を与える目的の拳銃です。
写真を見てもらえば解りますが、サプレッサーが組み込まれています。


そして作動方式は手動で装弾数は5発+1発で、グリップがマガジンになっています。


このような性格から、通常のサイドアームとしての使用は無理ですが、通常の拳銃では成し得ない任務をこなす事が可能です。
『おかしいな、通常の拳銃にサプレッサーを付ければ同じだし、連射もできるじゃないか』という声が聞こえてきそうです。
それは確かにそうなのですが、通常の拳銃にサプレッサーを取り付けると、まず全長が長くなりかさばってしまいます。
レンジャー連隊が採用しているグロック22の特殊拳銃がまさにそうで、Crye社製のGun Clipホルスターなどは、サプレッサーを装着した状態で携行できるように特別に設計されたホルスターです。
(普段はサプレッサーは専用パウチに入れて、拳銃とは別々に携行する)
VP-9はサプレッサーが組み込まれているので、全長は普通の拳銃とそれほど変わりはありません。
それからアクションの音が意外とうるさく、これも無音に近い状態で任務を行いたい場合には障害となります。
そのために音がしない手動が採用されました。



またVP-9と同時に開発された特殊ショルダーパウチがあります。
これはVP-9がスッポリとおさまる三角形のパウチですが、よく見ると前部に穴が開いていて、サプレッサーの銃口が覗いています。
後部にポケットに手を突っ込む感じで入れると、グリップを握る事ができ、そのままVP-9を露出する事無く、人ごみでも目立たずに必殺の一弾を敵に対して無音で撃ち込めるという寸法です。
一歩間違えば犯罪者が泣いて喜ぶ拳銃だけに、販売は政府機関のみに限られています。間違った人間の手に渡れば、大変な事になるからです。



隠匿する必要が無い場合、光学照準機器が必要な場合は、サプレッサーに専用リングマウントを取り付け、そこにライトやレーザーを搭載する事も可能です。
同類の拳銃は第二次大戦時に限定的に存在したのと、60年代に中国が64式微声手槍というのがありましたが、当時はサプレッサーの技術がプアで、それなりの音が聞こえたそうです。
VP-9は特殊な使い捨てバッファーを5個サプレッサーの中に搭載して音を殺しますので、無音とまでいきませんが、都会の雑踏の中で発射したら気がつく人はまずいません。
使用は限定されますが、精鋭部隊にはこのような拳銃が武器庫にあってもいいと私は思います。
今回はB&T社製の特殊拳銃、VP-9を紹介しました。





B&T VP-9 PISTOL


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2015年06月26日

2015年夏の感謝祭




恒例の「2015年夏の感謝祭」を7月4日に開催いたします。
会員の方にはご案内のハガキを送っています。

もし、届いていないようならご一報ください。

宜しくお願い致します。



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2015年06月22日

B&T 最新アサルトライフルAPC556レポート

先週に引き続きスイスB&T社のAPC(アドバンスド・ポリス・カービン)シリーズ(9mm、.45 ACP, .223、556mm、.300 Whisper)のレポートをします。


APC556

右下のストックはのフォールディングストック(チークパッド付き)

 APCとは、Advance Police Carbineの略で、最初は9mm口径の新世代サブマシンガンとしてH&K社製MP5短機関銃の後継の座を狙って開発されました。
 マニア好みの派手なデザインでは無いものの、質実剛健で無骨な外見で、私は一目で『これは使える銃だな』というのが第一印象でした。
 MP-5は優れた銃で、1980年の在ロンドンイラン大使館占拠事件においてSASが使用したのが代表例にあるように、その信頼性と実戦での有効性は疑いの余地がありません。


APC9(9mm弾)


 よってB&T社はMP-5を使い続ける軍・警察機関向けに、数多くのアップグレード・パーツを開発・提供しています。
 APCも開発当初より改良を重ね、今年は軍隊向けに5.56mm仕様が発表されました。
 ここではこの5.56mm口径のAPCを中心に話を進めていきたいと思います。
 APC 556について語る前に、私が良い自動小銃か否かを判断する基準に関して述べてみたいと思います。
 命中精度や耐久テストに関してはNATO基準を満たしている、というのは当たり前の事なので、ここでは省略します。
 確認しますが、これは私個人の経験から出した基準であり、他の何とも関係が無い事をご理解ください。


-安全で作動不良が起きず、作りが頑丈な事。
(まず軍用小銃とは安全で頑丈でなければなりません。これは説明の必要がないほどです)
-M16のマガジンを使用可能ながらも、信頼性のある専用ポリマー製のマガジンを使用する事。
(既存のM16マガジンはアルミ製で耐久性に問題があります。ですので専用の頑丈なポリマー製のマガジンが必要です。なおかつNATO基準であるM16のアルミマガジンを使用できる事が条件となります)
-信頼性のある照準装置が付属している事。
(照準装置が粗悪だと、当然高い命中精度が期待できません。APCには基本的にAimpoint T-1が付属してきますが、要望によって変更する事も可能)
-サプレッサーが装着できる事。
(隠匿と兵士の視聴機能を守るため)
-ストックが伸縮式でフォールディングである事
(空挺降下可能)。
-左右両利きの射手が容易に取り扱える事。
-引き金がTwo Stageで引きやすい事。
(引き金が引きにくいと、新兵の訓練に時間がかかる。Clean and Crispなトリガーが必要)
-分解結合がツール不要で行えて、*クラス1、2、3、の各レベルにおいて保守が容易な事。

※注釈 米陸軍における保守のクラシフィケイション。
クラス1メンテナンス-オペレーターが対応できる故障。クラス2メンテナンス-武器庫担当アーマラーが対応できる故障。
クラス3メンテナンス-メーカーに送るか、パーツが完全に破損して交換を必要とする故障。




 APC 556はこの基準を全て充分すぎるほど満たしています。
 特に左利き射手に対応して、全てが左右対称に設計されている点が優れています。
 これは社長のカール・ブルッガー氏が左利きであるため、設計段階でその点を重点的にチェックされます。
 リコイルも特殊なハイドロバッファーによって非常にマイルドで、連射時にサイトの戻りが速い、という点も見逃せません。
 しかもストックが折りたためるため、戦車兵や機械化歩兵、空挺歩兵などが使いやすいのは言うまでもないでしょう。
 日本の防衛省が陸自次期小銃を模索中と聞きました。
 私はAPC 556をライセンス生産も含めてオプションのひとつに入れていいのではないかと思います。


 日本の工作機械のレベルは世界でもトップレベルにあります。
 付け加えますと、B&T社も日本製CNCマシンを使用して生産しています。
 ですが日本のメーカーには経験と知識がありません。
 そうなると独自で次期小銃を開発しようとすると、チンチクリンな小銃が出来上がってくるのはほぼ間違いないでしょう。
 それならばあえてプライドとエゴを捨てて、優れた海外製の小銃をライセンス生産して採用した方が、現場のためになると私は考えます。
 永世中立国であるスイス製という事で、政治的な障害も最小限になるはずです。
 さらに細い事を付け加えますと、APC 556には専用のカートキャッチャーを取り付けることができ、薬莢を100%回収できる点なども自衛隊向きです。



 軍用モデルとして唯一気になった点ですが、40mmランチャーが付属できない点です。
 この点をメーカーに指摘した所、『ランチャーを小銃に取り付けると、重量がかさんで取り扱い難くなる。
 よってあえて除外しました』との答えが返ってきました。
 これは正しく、米陸軍にM203の後継機として採用されているH&K M320ランチャーですが、私が友人の大尉に聞いてみたところ、『良く当たるのは当たるが、M203と比較して重すぎる。
 よって小銃に付けて使う射手は皆無で、みんなスタンドアローンで使用している』との答えが返ってきました。
 B&T社もその点をよく理解していて、40mmランチャーはGL-06という独自のシステムがスタンドアローンで存在します。
 それでいいと私は思います(GL-06はまた別の機会に紹介します)。
 またバイヨネットラグが無い点ですが、これは現代のシアターでは損害が多大にでる銃剣突撃は認められない、という政治的な事情があります。
 よって悲しいですが、銃剣は消え行く運命にある装備なのかもしれません。
 余談になりますが、先日私が勤務していたワシントン州JBLM基地内を運転していたところ、銃剣戦闘を訓練場から刺突用のダミーが撤去され、大量に積まれていました。
 関係者に話を聞くと、銃剣突撃訓練の必要が無くなったので廃止になったとの事です。
 私が現役時代、泥だらけになって気合いを発しながら全力で突いて殴ったダミーたちであるだけに、感慨深くなりしばらくその場に立ちつくしてしまいました。



 話がすこし逸れましたが、APC 556は派手な外見は無いものの、質実剛健で優れた小銃であるのは間違いありません。今後は20インチ銃身で倍率のあるスコープ付きのシャープシューター専用EBRモデルなど、バリエーションが増えて進化し ていくのが予想されます。それにともなって、APC 556を採用する国が今後増えていくでしょう。
 口径も警察用に9mm、.45 ACPと.223、軍隊向けに5.56mmと300ウイスパーと、ニーズに合わせて口径を選択できる点もすばらしく、パーツの交互性が56%と、ロジスティックを考慮したシステムとなっている点も見逃せません。


 B&T APC 556、久しぶりに手にした『使える小銃』でした。






B&T APC556





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2015年06月20日

B&T プロショップ


スイスのB&Tが運営するプロ・ショップに行って来ました。


B&T本社ビルの隣のビルの地下に『B&Tプロショップ』があります。


銃器とかも販売しているので、扉は常に鍵がかかるようになっておりセキュリティーも厳重です。


入るといきなりアメリカ・ヨーロッパ各国の銃器類が展示してあります。

銃器類はもちろん手に取って、ガシャガシャいじってもOKです。


B&T最新のアサルト・ライフルAPC(アドバンスド・ポリス・カービン)556も売ってました。非常にコンパクトで軽くていいです。


マガジンポーチやバッグ、グラス類の棚


ガンケースやアクセサリー類、ずーと奥まで続きます。



各銃器のレール・システム


いろいろなサプレッサー。さすがにサプレッサーの老舗です。


バーチカルグリップやバイポッド


ストックやカートキャッチャー


最新の音の出ないハンドガンも展示してありました。


本社ビルの地下には25mの完全防音射場がありここで試射等が可能です。

B&T社のあるスイスのトゥーンという街は本当にいいところで是非一度行って見て下さい。お奨めします。


トゥーン湖から見たアルプス


トゥーンの街


トゥーン城


トゥーン城にいたまったく人見知りしない猫







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2015年06月19日

B&T APR(Advanced Precision Rifle)レポート

Brugger and Thormet APR(Advanced Precision Rifle)


 B&T社製のAPRは2005年のMILPOLでデビューした、最新式の狙撃銃のひとつです。


 APRの特徴は、M24SWSなどに代表される、レミントンM700をベースに改良した従来の狙撃銃とは異なり、2000年代のスイステクノロジーがフルスクラッチでデザインした狙撃銃という点です。


 ではレミントンM700を改良した狙撃銃では何が問題なのでしょうか。
 まず狙撃用ストック、バイポッド、スコープとマウント、などのアクセサリー類を別個で購入するので、個々の単価が高くなり、狙撃システムの値段が非常に高価になってしまう点です。
 また当然後付けなので品質管理上バラツキが出てくるという問題点もあります。部隊で同一の銃器類を購入したい場合、こういった点は非常に問題となります。


B&T APR308 と APR338

 M24の場合は統制が取れたバンドルにより、M24SWSとしてうまくシステム化ができましたが、これは結果オーライであって、そこまでに大量のムダと時間の浪費がありました。その点、APRは最初から狙撃銃として設計・ 生産されました。そこが大きな違いです。
 またレミントンM700ベースの狙撃銃には、メカニズムにおける不具合が数多くレポートされています。
 これはトリガーブロック・セイフティの設計が1960年代のもので、定期的にメンテを行わないとボルトを閉じた瞬間に暴発するようになります。
 これはM24が悪いのではなく、基本設計の新旧問題です。


APR338(銃身の上に付いているカバーは陽炎抑制カバー)



 車に例えますと、1960年代に開発された車両が現代の安全基準を満たさないのと同じ事です。
 APRに話を戻しますが、B&T社は狙撃銃だけでなく、弾薬やスコープなどにも気を配られて生産しています。
 まず最も重要なスコープですが、ドイツのシュミット・アンド・ベンダー社製の12x50スコープを自社製の特性マウントに乗せて搭載するシステムです。
 カール・ブルッガー社長いわく、『B&T社とS&B社とは良好な関係に あり、場所もスイスとドイツと近い事から、安定した製品の供給が約束されている。会話も同じドイツ語で行えるため、意思の通達も120%正確に伝わ る』
 最近では第二の選択肢として、オーストリアのKahles社製のスコープも、発注元の希望によって搭載可能です。
 余談になりますが、B&T社はマウントなどのアクセサリーをH&K社などにOEM生産して供給しており、この辺の技術は十八番です。
 日本の警察庁にも相当数のB&T社製品が納入されています。
 (サプレッサーを含めた MP-5短機関銃関連のパーツがその大半)
 狙撃銃には欠かせない良質の弾薬に関してですが、B&T社は欧州軍需産業の大手であるRUAG社と業務提携を行っています。
 両社はスイス・トゥーン市内に位置しており、RUAG社は弾薬工場があります。私も見学しましたが、そこには弾道に関する専門の研究施設が設置されており、弾道テストなどを行えるようになっています。
 雪国であるスイ スらしく、冬でも射撃テストがおこなえるように施設は300m射場を含めて全て屋内だったのは驚かされました。
 またあまり知られていませんが、B&T社はサプレッサーをH&K社、F&N社、グロック社、ベレッタ社、など殆どの欧州火器メーカーにOEM供給しています。
 (H&K社製のサプレッサーは刻印はH&Kとあるが、実際はB&T社製)

Guntelsey-Thun軍用射撃訓練場

 APRには発注先のニーズによって、銃口にサプレッサー、マズルブレーキ、フラッシュハイダーなどを用途によって搭載できます(サプレッサー搭載専用モデルも有-APR 308S)。
 APRには、7.62mm口径だけでなく、より長距離を狙う必要性に対応して、より強力な.338ラプアマグナムを発射できるモデルも存在します(APR 338)。
 またどのモデルであっても、ストックが折りたためるのが空挺出身の私としても非常に喜しい限りです。理由は単純、APRと共に振る装備で空挺降下が可能だからです。
 APRは現在までにルクセンブルグ警察、コソボ軍、ルーマニア軍、シンガポール軍、ウクライナ軍、グルジア軍、韓国軍、などに採用されています。
 新参者だけに使用国は多くはありませんが、性能はトップクラスの狙撃銃であるため、今後さらに採用する国が増えていく事が予想されます。
 私が最も奨める狙撃銃のひとつです。


APR308 & APR338



※ロシア語です。(参考に)


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2015年06月18日

B&T SPR300 レポート

B&T SPR-300
今回は非常に珍しい銃を紹介します。
B&T社製SPR-300です。

SPRとは、Special Purpose Rifle(特殊目的ライフル)の略ですが、では何が特殊なのでしょうか。
まず通常の狙撃は、可能な限り遠距離から行うのが定石です。
ところがこのSPR-300は、近距離それも射程距離が150m以下(弾頭重量が125グレインスーパーソニック弾(640m/秒)を使用すれば、発射音が多少あるものの射程距離は300mまで伸びる)という使用が限定された特殊な銃です。


その用途を説明する前に、300ウィスパー弾薬に関して説明してみたいと思います。『ウィスパー』つまり『囁き』という意味ですが、その名の通り開発当初からサプレッサーを使用しての発射を前提に開発された弾薬です。
つまり弾道学的にサプレッサーを使用すると威力が不充分である45口径や9mm拳銃用弾薬の欠点を補う意図で開発されました。
サブソニック領域内で飛ぶ弾丸である.300ウィスパー弾薬は、より長い7.62mmサブソニック弾薬と比較して短い、軽量なアクション/銃器システムしか必要としないという大きな利点があります。
SPR-300を手にしてまず感じるのが『軽い!しかも小型だ!』という点です。

携帯用のバッグにすべてがセットされているSPR300(これなら移動にも非常に楽です)

そしてプローンの姿勢でボルトを前後に動かしても、ボルトが顔に当たらない、という利点がまさにそれでした。
これは射手にとって非常にありがたいシステムです。.300ウィスパーにより、音速のギリギリ下の弾速(サブソニック)をもって可能な限り高い弾丸エネルギーを被射体に与える事が可能です。
弾頭重量が重く初速が遅い(230グレイン・320m/秒ため、人体に対して強力なストッピングパワーを持った弾薬です。

300ウィスパー弾(音の静かなサブソニック弾)
大きさは通常の5.56mm弾と同じくらいですが、右の写真のように大きくて重い弾頭が装着され、火薬量も少なくなっています。


300弾頭重量が125グレイン・スーパーソニック弾(高速弾)

ではその用途はどのようなシチュエーションが考えられるのでしょうか。
軍事作戦はともかく、警察機構の狙撃手は周囲を封鎖して、可能な限り標的に近づく事が許されます。
その距離が100mを超える事はまずありません。
市街地では特にそうです。
つまりバリケードサスペクトなどを排除する時に、邪魔な存在であるメディアや野次馬に気づかれずに容疑者を無力化する事が可能となります。
また麻薬取締局などが麻薬の売人宅にガサ入れを行う場合、無音で番犬を排除したりもできます。
(麻薬の売人はガサ入れ時にトイレに麻薬を流す時間を稼ぐため、よく吠える番犬を飼っている)
警察だけに用途は限られると思いきや、そうでもありません。SPR-300はフランス軍特殊部隊に購入され、近年アフリカのマリであった動乱で実戦使用されました。


ゲリラのアジトを夜間に急襲したそうですが、相手は一体どこから弾丸が飛んで来るのか、それどころか何が起こったのか全く気がつかなかったそうです。
実際にサブソニック弾を撃った時の発射音は、『ボスッ』という程度で、マルイのエアガンの方がうるさいほどです。
日本の地理条件を考えると、警察機構が150mを超える狙撃が必要とされる情況はほぼ無いと思われます。
自衛隊にしても市街地戦闘ではそうでしょう。よってこのSPR-300は日本向けの狙撃銃ではないでしょうか。
SATを保有する各都道府県の警察には2丁ずつくらい装備してほしいと思います。




SPR300


最後に付け加えますと、この特殊弾薬を使用した銃器の将来性を見越してか、各メーカーが専用のスコープ、ダットサイトを開発しています。
それはドットが上下に2点あり、1点をサブソニック弾でゼロイングすると、スーパーソニック弾で撃った際にはもうひとつの点に着弾するように設計されたスグレモノです。
スコープだけでなく、伏せ撃ち用のバイポッド、光学照準機器搭載用レール、特殊運搬用ケース、といった必要なアクセサリー全てが付属してきます。
分解してこの特殊ケースに収納すると、外見からはまさか狙撃銃を携帯してるとは思われません。
今後はSPR-300を採用する機関は増えていく事と予想されます。







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2015年06月17日

B&T ポリス&ミリタリー・ミーティング


スイスにある銃器メーカー“B&T(ブルッガーアンドトーメー)”が主催するスイスのポリス&ミリタリー・ミーティングに行って来ました。

B&T本社ビル


ポリス&ミリタリー・ミーティング会場のGuntelsey-Thun軍用射撃訓練場


B&T社から発行されたIDパスを付けて入場すると、Blackhawk、eagle、511、ASPなどの有名ブランドの特別価格の箱売りコーナーがありました。





安いなーと思って、ついつい買ってしまって、いきなり初日からサイフが軽くなってしまった。
(まだスイスの観光地もみていないのに)


Guntelsey-Thun軍用射撃訓練場はとても広く、設備もりっぱで圧倒されます。


今回のB&T社の目玉商品は何と言っても最新の5.56mmアサルトライフルのAPC223です。

軽くて、小さく、それでいて性能は最新の技術を随所に取り入れた革新的な小銃です。


非常に構えやすく、トリガープルも良く、レシーバー後部にダンパーが入っているので反動も少ないとても良い銃に仕上がってます。



今回のこのモデルの銃身は12インチですが、折りたたむとこんなに小さくなります。


もう一つの目玉はほとんど無音の狙撃銃SPR300です。
7.62mmのサブソニック弾“300ウィスパー”専用の狙撃銃です。

狙撃距離は短くなりますが、発射音のほとんど聞こえないとても恐ろしい銃です。

銃のレポートは次回、詳しく書きます。

それはそうとスイスのツゥーンというところは昔のヨーロッパの街並みがそのまま残っているとても良い場所です。



街全体が中世ヨーロッパみたいなところで、機会があればぜひ訪れて下さい。





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2015年06月17日

アトランタ・ブレードショー2015



今年もブレードショーの季節がやってきました。銃器業界は1月のショットショーでその年が始まりますが、ナイフ業界は6月のブレードショーで始まる気がします。今回も毎年のごとくブレードショーを簡単にレポートしてみたいと思います。



私は今回も菊さんこと松田菊男さんのブースにてお手伝いをさせていただきました。ブースでは菊さんと山下刃物のヨシさんらとアイデアを出し合って、業界の情報交換を兼ねたミーティングを行います。こうしてじっくり話せる機会はあまいないので、非常に貴重な時間です。



そして会場を回って他メーカーの人たちと挨拶を交わしながら、新製品のチェックです。今年も写真を見ていただければ解りますが、色々と興味深い新製品が出ていました。特に目を引いたのがKey-Barという製品です。鍵をスイスアーミーナイフの要領で収納するもので、その奇抜さからブースには人だかりができていました。私も購入しようと思ったのですが、私は鍵束をクボタンに付けて携行しているので、残念ですが購入を見合わせました。




そのほかにはBAWIDAMANN BLADESのAndrew Bawidamann氏とナイフシースやホルスターをMOLLEやベルトに自由な角度で取り付けられるPUPの新製品を紹介していただきました。これはすばらしいシステムですので、早速購入しました。銅製品はショップエリートにも入荷しております。





またTie Tacticalのケビン・ロビンソン氏ともミーティングを行い、ここでもホルスターとシースの製作を依頼しました。

そのような具合で、非常にプロダクティブなブレードショーでした。今後、それらが完成しましたら、ここで逐一ご紹介していきたいと思います。

飯柴





  

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2015年06月04日

伸縮自在の2ポイント・スリング




今日も赤塚は青空、こんにちは。プロショップエリートです。

5.11の2ポイントスリングを入荷しました。これです。


※ストックホルダーはついてません

ご存知のかたも多くいらっしゃいますが、5.11のこのスリングはもともとバイキングタクティクスの伸縮自在のスリングをベースに作られています。
そのため、5.11の販売促進用のPVにバイキングタクティクスの主催者カイル・E・ランブも登場してきます。



このカイルさんが作ったスリング、おおざっぱな特徴で言うと、伸び縮みがラクです。
どれくらい楽かというと、こちらのハウツーの動画を見てください。

こっちの動画は1分半ぐらいなんで楽です。


ワンタッチでスリングが伸縮します。スリングを一番伸ばせば、左右の射撃の撃ち分けが非常にしやすくなり、さらに一番縮ませば、体にぴったりと密着し、ウェポンキャッチいらずで作業のジャマにもなりません。背中に背負うのも容易です。

バイキングタクティクス製のもともと仕上がっていたスリングを5.11が更に手を加える事により、より使いやすくパワーアップしました。使い方自体は変わりませんが、使う際の取っ手の部分であったり、スリングの端部が補強されてたりと、格段になじみやすくなっています。
ただ肩から下げるだけのスリングとは違い、状況に応じて、即座にスリングの特性を変えることができる1つで何役もこなせる拡張的なスリングです。

このスリングはパッド付きのも販売されています。エリートにて展示、販売しておりますので、よかったら見に来てください。今後共エリートをよろしくお願いします。


  

Posted by ELITEMASTER  at 13:48Comments(0)装備品・訓練

2015年06月02日

スッキリ収納マガジンポーチ。


赤塚は夏の陽気、こんにちは。プロショップエリートです。

マガジンポーチは最近、いろいろな種類が出始めておりますね。昔はライフル弾用のマガジンポーチしかなかったのですが、それにハンドガン用のマガジンポーチを足したいわゆるカンガルーポーチなどが出始めました。そしていろいろ付属されるようになり、最新ではメディック用品とマガジンを一つのポーチに入れたりしています。緊急時に迅速な処置が必要なメディックポーチにマガジンがついていたら邪魔じゃないかな…と思いますが、いま人気のポーチです。

はい、でエリートにも新しい5.56弾用のポーチを入荷しました。先日、ご案内したイスラエルはアジライト社のマガジンポーチです。それがこちら。

アドバンスド・アモポーチ



です。

こちらのポーチ、5.56用の弾倉が3本入ります。


はい。

で、さらにこのポーチがアドバンスしているところは、
両脇にポケットがついております。はい、こちら。




ここのポケット、それぞれいろいろなツールが入るようになっております。

レザーマンツールだったり…


ライトだったり


さらに。
先端のバックルをはがすと




身分証や、地図などをいれるパスケースが付属しております。

このポーチひとつでおよそタクティカルに必要なおおよその装備はまかなえます。スッキリ収納したい方はぜひ一度ご覧になってください。今後共プロショップエリートをよろしくお願いします。



  

Posted by ELITEMASTER  at 18:22Comments(0)装備品・訓練