2013年12月17日

タクティカル ナビ

タクティカル ナビ


軍人(特に陸軍)にとってランドナヴィゲーションは必要不可欠な知識です。
各国の軍隊において入隊直後の基本訓練期間中に徹底的に教育されます。
私と軍用GPSの付き合いは非常に長いです。
90年代前半のROTC士官候補生時代、最初にレンザティック・コンパスとプロトラクターの使用方法、MGRS、G-Mアングルの計算、インターセクション/リセクション、などの基本を学びました。
82空挺に配属になって、初めて軍用GPSであるPLGR(AN/PSN-11 Precision Lightweight GPS Receiver:プラガーと発音)に出会いました。コンパスしか使用したことが無かった私には新鮮で、『こんなに便利なものがあったのか!』と心から感動しました。
アフガニスタンでは軍用GPSを発達させたブルーフォース・トラッカー、FBCB2(Force 21 Battle Command Brigade and Below)が各車両に取り付けられ、即座に実戦で使用しました。
その後にストライカー旅団に配属後、PLGRの新型DAGR(AN/PSN-13 Defense Advanced GPS Receiver:ダガーと発音)を手に取り、PLGRの半分以下のサイズになって高性能化したDAGRを使用して、技術の進歩に驚いたものです。

タクティカル ナビ

さて、現在では何でも携帯電話でできるようになりました。私はあまりアプリをダウンロードしたりしないのですが、今回Tactical NAVというアプリを82空挺時代の友人から紹介されました。
さっそくダウンロードしてみるとこれがすごい!
DAGR以上の性能を持っている(ただしDAGRはGPS衛星秘匿回線受信可、民間GPSは通常回線のみ)アプリです。
緯度/経度の表示からすぐにMGRSの表示に切り替えられ、MGRSのグリッド・オーバーレイをハイブリッドマップ上に投射できるようになっています。
自身の位置やウエイポイントを瞬時に他のユーザーとシェアできたりもします。
このような優れたアプリが700円以下でダウンロードできるという、とんでもなく便利な時代になりました。

タクティカル ナビ

私が使用している携帯電話の機種はサムスン・ギャラクシーS3ですが、I Phone用Tactical NAVのアプリもあります。
GPS衛星秘匿回線を受信できないという理由から、陸自の方たちが勤務に使用するのは奨めませんが、MGRSに常に慣れておくと言う面でこのアプリは非常に有効です。参考までに言いますと、米軍は有事にGPSのシグナルを衛星秘匿回線のみ使用可能にするといった措置をとりますが、平時は通常回線も同精度で使用可能です。

このように便利なTactical NAVですが、決してコンパスやプロトラクターの使用方法を知らなくていいという事ではありません。
アナログでランドナヴィゲーションの基本をしっかり身につけてから、文明の利器を使いこなすようにしましょう。GPSの使用方法は知っていても、コンパスの使い方は自信が無い、といったようでは本末転倒です。
さらに深く言えば、コンパス無しでも方角がわかるように訓練されていなければなりません。

では皆さんも機械に使われないように、Tactical NAVのような便利で安価な文明の利器をうまく使いこなして下さい。

飯柴


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Posted by ELITEMASTER  at 16:06 │Comments(0)

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