2021年09月20日

米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

"Inert Products社"と聞いて、ピンと来る人は日本にはほとんどいませんが、米国ペンシルベニア州スクラントンにある"Inert Products(イナート・プロダクツ)社"は、米国内の連邦、州、市、郡、各
レベルの警察機関、国土安全保障省、米国国防総省に、テロの脅威に対する訓練および訓練機材を提供する会社です。

米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

今回はそのInert Products社の製品を紹介します。

■実物と変わらない訓練機材・簡潔で正確な資料
米国イナート プロダクツ(Inert Products)について
米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

まずは訓練機材から説明します。写真を見ていただければ一目瞭然ですが、InertProducts社製の製品は耐久性が高く、パッと見、実物と間違うほどのリアリティがあります。
我々のようなプロの軍人が見ても、訓練開始前に間違いなく模擬と数回確認しなければならないほどです。

米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

Inert Products社は、2001年に始まったGWOT(Global War on Terrorism:テロとのグローバル戦争)初期段階からIED(Improvised Explosive Devices:即席爆発物)やテロの脅威を正確に認識し、効果的な対応策を米国防総省と協力して各種対抗策を研究してきました。

例を挙げると、あらゆるタイプの模擬爆発物、模擬IED、模擬対人/対戦車地雷。
そしてカスタマイズされた対IEDトレーニングキット、模擬対戦車兵器・各種砲弾・弾薬、などがあります。その中でもベテランEO(Explosives Ordnance and Disposal:爆発物処理班)隊員によってデザインされたEOD用爆弾解体用ツールは特に好評を持って迎えられています。他には対IED識別早見表や脅威識別ポスター、軍用地図、ビデオ、訓練マニュアル本、などの各種資料提供も行っています。
それらの資料は図解とシンプルな解説付きで、四コマ漫画のような読みやすさがあり、非常にわかりやすいです。

米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

■限りなく実戦に近い訓練

Inert Productsは訓練機材・資料の提供だけでなく、顧客の要望によって各種訓練の提供も行えるだけの経験と人材が揃っています。

Inert Products社の訓練レベルは高く、特に対IED訓練などは(*1)JIEDDO(Joint IED Defeat Organization:米国統合対IED対策部)出身の訓練教官が、JIEDDOと同じ最新の訓練を施しています。

対IED訓練では、(*2)NGIC(National Ground Intelligence Center:陸戦情報収集センター)による情報提供の元、JIEDDOが発案した訓練ドクトリンです。

そしてもちろん(*3)AWG(Asymmetrical Warfare Group:非対称戦研究グループ)によって実戦における有効性が確証された内容です。

訓練の例を挙げると、
・Counter IED:対IED訓練
・Sniper Defeat:対スナイパー訓練
・Base Defense:前線基地防衛訓練
・Conboy Operations:コンボイ訓練
・EOD:爆発物処理、Battlefield Forensic
・戦場鑑識、Anti-Terrorism:各種対テロ
・Airport Security Screening:空港警備
などの訓練があります。

また顧客の要望により、訓練期間や内容をカスタマイズする事も可能です。

■M68 Inert Training Kit
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Inert Products社製の製品の中で、私が最も愛着のあるのがこの模擬クレイモアです。
米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

M68と名称がついている事からもわかるように、米陸軍正式採用訓練品です。
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クレイモアだけでなく地雷の訓練は取り扱いが90%以上を占めるため、このM68キットは米陸軍内で大いに活用されています。
米国イナート プロダクツ(Inert Products)について

600ドルほどと高価ですが、実物と全く同じ訓練ができるのが最大の利点であり、陸軍が正式採用した最大の理由でもあります。
米国イナート プロダクツ(Inert Products)について
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■まとめ‐日本での活用

いい事ばかり書きましたが、米軍とは事情が異なる日本において、その実用性はあるのだろうか?という疑問が当然出てきます。
私は大いに在ると考えます。
特に訓練分野においてその可能性は無限大です。
自衛隊は今まで、そしてこれからも海外に出ていく機会が増えていきます。今回のカブール空港への(*4)NEO作戦などがまさにそれです。
一歩日本の外に出れば、IEDの危険性はそこら中にあります。
そんな中にまともな訓練を受けずに出ていくのは自殺行為です。
イラク戦争開始当時、米軍将兵がIEDによって多くの死者を出した事実がそれを証明しています。
一昨年、私が対IEDセミナーを行った際に、『この中で対IED訓練を受けた事がある方はいますか?』という質問をしてみました。
参加者(全員が自衛官・警察官)の中で経験者はたった一人、それも簡単な講義だけだったらしいです(自信無さそうに挙手していまた)。
参加者の全員がベテラン自衛官でしたが、これは非常にマズい事態です。
隊IED訓練は即席で身につくものではないからです。数多くの実戦経験と蓄積されたデータを元に、最良の対抗策を理解して、何度も反復して身につくものです。
Inert Products社は米陸軍JIEDDOのドクトリンに沿った訓練を提供しています(友好国の軍隊に対してのみ)。

OTS社はInert Products(イナート・プロダクツ)社の日本正規代理店です。
Inert Products社の訓練機材、訓練に興味がある方は、ぜひお問い合わせください。
OTS社には、米陸軍JIEDDOで実際に訓練を受けた日本語が話せるスタッフが教官として常駐していますので、訓練時に言葉の問題はありません。

(*1)JIEDDO(Joint IED Defeat Organization:米国統合対IED対策部)-米国防総省直轄DTRA(Defense Threat Reduction Agency :国防脅威削減局)傘下の組織。イラク戦争においてIEDによる死傷者が続出し、2006年に組織された。本部はペンタゴン内部にあり、指揮官は少将。

(*2)NGIC(National Ground Intelligence Center:陸戦情報収集センター)-INSCOM(Intelligence and Security Command:陸軍情報保全コマンド)傘下の組織で、1994年に組織された。本部はバージニア州シャーロッテビル。CIAなどと異なり知名度は低いが、ありとあらゆる陸戦の情報を収集・分析し、データを提供している。指揮官は陸軍大佐。

(*3)AWG(Asymmetrical Warfare Group:非対称戦研究グループ)-米陸軍TRADOC(Training and Doctrine Command:陸軍教練コマンド)傘下の組織で、非対象戦争の重要性が向上したことにより、2006年に組織された。本部はバージニア州フォート・ミード。指揮官は陸軍大佐が務める。NGICで収集・分析され、JIEDDOが発案した対策案を実際に実戦で試用し、友好的な戦術および対抗装備の開発・選択などを任務としている。

(*4)NEO‐Non-Combatant Evacuation Operation。非戦闘員で自国民を紛争地帯から救出する作戦。


Inert Products(イナート・プロダクツ)社 ホームページ



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OTSは10月20日~22日に開催される「テロ対策特殊装備展“SEECAT”」に出展致します。
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上記のイナート・プロダクツについてのお問い合わせはブースにてもお受けいたします。


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Posted by ELITEMASTER  at 22:07 │Comments(0)

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