2014年06月20日

21世紀の小烏丸-Wally Hayesのハヤブサ



2014年のブレードショーに参加してきたことは、先日のブログで紹介しました。そこで自分がオーダーしていた物が完成し、引き取ってきたので、ここで紹介してみたいと思います。ABSマスターブレードスミスの資格を持つ、カナダのナイフメーカー、Wally Hayes氏が制作したハヤブサがそれです。Wally Hayesは、日本の刀鍛冶も唸るような美しい日本刀を鍛造で制作することで有名なナイフメーカーで、日本にもそのファンが多い事で知られています。私の長年の友人であり、本来ならばオーダーしてから数年待たされるところを、数か月で制作してもらいました。

日本刀は、日本人が世界に誇れる文化のひとつです。そのほとんどはご存知の通り片刃のデザインですが、例外が存在します。平家伝来の日本刀、「小烏丸」がそれです。小烏丸は、日本の刀剣が直刀から反りのある湾刀へ変化する過渡期の平安時代中期頃の作りで、一般的な「日本刀」とは違い、刀身の先端から半分以上が両刃になっている独特の形状が特徴です。これを鋒両刃造(きっさきもろはづくり、ほうりょうじんづくり)と呼び、以降、鋒両刃造のことを総称して「小烏造(こがらすまるつくり)」とも呼ぶようになったと言われています。刀身全体の長さの半分以上が両刃になっていることから、断ち切ることに適さず、刺突に適した形状となっています。Wally Hayesは小烏丸を現代に甦らせ、ハヤブサを生み出しました。



『なんだ、刀か』という声が聞こえてきそうですが、自分も刀を時代遅れの兵器という先入観を持っていました。これがある時期に覆されました。某特殊部隊の武器庫を訪問した時です。そこには最新銃器とともに脇差が数本、保管されていました。何に使うのか質問すると、『刀は近接戦闘で非常に強力な武器だ。音を出したくない、銃器の携行ができない、油田施設などで爆発の危険性がある等、様々な事情で発砲できない状況がある。そういった時に非常に役に立つんだ』と教えてくれました。特殊部隊員たちは刀をTactical Wakizashiを略し、Tac-Wakiと呼んでいました。実際にTac-Wakiを使用して行う近接戦闘訓練を目の当たりにして、私は思わず唸ってしまいました。

思い起こせば、私が最初に修得した武術は、警察署の道場で習った剣道でした。小学校低学年から高学年にかけての話です。機動隊所属の師範たちが行う剣道は激しくぶつかり合う、まさに格闘技でした。『いいか、小手を狙うような剣道はするな。だから小手先っていうんだ。やられてもいいから、思いっきり面を狙っていけ』と指導されたのを30年たった今でもよく覚えています。余談になりますが、オリンピック競技で近代五種という競技があります。これはランニング、乗馬、フェンシング、水泳、射撃、を一人で競う競技です。19世紀にナポレオン時代のフランスで、敵陣を突っ切って戦果を報告する任務を負った騎兵将校が、馬で敵陣に乗り込み(乗馬術)、白兵戦では敵を銃と剣で倒し(射撃・フェンシング)、川を泳いで渡り(水泳)、馬を失った後は走り抜けた(ランニング)という事実に基づいてえきた競技種目と言われています。軍事技術が発達した今日でも、また未来においてもこれらは軍人として絶対に必要な技術ではないでしょうか。不幸にも銃を失った場合、その他の技術が無いと状況は絶望的になりますが、全てを身に付けていれば生存性が高まるのは言うまでもありません。



話がそれましたが、実用性とともにハヤブサの美しさに魅了され、その短い鎧通しモデルと共に三本もオーダーしてしまいました。これらは安くありませんが、実用性と同時に所有する喜びもあります。元格闘家の前田日明氏も日本刀のコレクターであるという事実からも、やはり武の精神を持つ日本人として日本刀を所有するのは心の支えになると同時に、精神を清める効果もあると私は思います。今回はそういった経緯でWally Hayes氏のハヤブサを紹介してみました。

飯柴





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Posted by ELITEMASTER  at 23:13 │Comments(0)インストラクター

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