2017年11月03日

2017年度 国際スナイパー大会 観戦レポート



毎年レポートしている米陸軍スナイパー学校主催の国際スナイパー大会が、米国ジョージア州フォート・ベニング陸軍基地で行われました(10月15日-21日)。
その模様をレポートします。今年は第30回記念大会となりました。
まず今年の印象は、参加チームのメンツがいつもとかなり違いました。


82空挺、第三特殊部隊群、アイルランド陸軍、などの常連チームが不参加でした。
そして去年の優勝チーム、ミシガン州軍1-125からはなんと、去年の優勝者を再度送り込んできました。『州軍が二連覇してやる!』という意気込みが感じられます。


逆に正規軍は2年連続で州軍に負けるわけにはいきません。そのプレッシャーが重くのしかかっているのが、見ててわかりました。
毎年そうなのですが、年々射撃とフィジカルの割合がフィジカル重視になってきています。決して射撃数が減っているのではなく、フィジカルな作業をこなしてから射撃する機会が増えている、という感じです。


これは今のトレンドでもあるクロスフィットやスパルタンレースなどに影響を受けているのは確かですが、やはりスナイパーとは歩兵であり、まず基礎体力が無いと務まらないという原点に立ち返っているのだと思います。
ですので、今後参加を考えているチームは、まず体力を徹底的に鍛え上げる必要があります。実際問題、エネルギー省のSRS警備部隊所属のチームはついていけずにリタイアしました。
これは核関連施設を守る狙撃チームは篭城型で、普段の勤務では重装備行軍などの機動性を必要としないのが理由です。
出てきただけでもその勇気を称えたいと思います。ちなみにSRS(Savannah River Site)とは、エネルギー省直轄核兵器開発の重要拠点であり、警備が超厳重で有名な施設です。
さて、前述したミシガン州軍チームですが、三日目が終わるまで、首位をキープしていました。
最終結果は、レンジャー連隊第三大隊が最後の最後で意地を見せ、総合優勝しました。
10位までは以下の通りです。



1位:レンジャー連隊第三大隊
2位:米陸軍州軍トレーニングセンター
3位:沿岸警備隊MSRT
4位:米陸軍1-125 ミシガン州軍
5位:デンマーク陸軍
6位:米陸軍州軍チーム
7位:米海兵隊SOI-W
8位:米空軍620th GCTS
9位:カナダ陸軍
10位:サン・ベルナンディーノ警察

警察系チーム(体力的理由)と外国チーム(言語的な理由)の順位が低い、のは毎年の事ですが、

11位:米海兵隊SSIS-クワンティコ
13位:米陸軍第七特殊部隊群
22位:USASOCチーム


こういった強豪チームの順位が低かったのも驚かされました。
ただスナイパースクール教官は、『順位は大した問題ではない。
ここに来て自信の限界を見極め、勉強し、部隊に帰って後輩を指導し、全体的なレベルアップに繋げる。
そしてスナイパー・コミュニティのネットワーク作る。
これらが大会の真の目的だ』と言っていました。私も全く同感です。


使用されたスナイパーライフルや装備展示品



















毎年、視察しているだけで大変な勉強になるこの大会、参加していないチームがあったら、来年からでも参加される事を強く推奨します。
まさに『100利あって、1害無し』の大会です。

飯柴



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Posted by ELITEMASTER  at 21:14Comments(0)装備品・訓練