2015年06月28日

B&T VP-9 消音特殊ピストル

引き続きスイスB&T社の製品をご紹介します。
これも非常に特殊な銃器で、今回は拳銃です。


B&T VP-9 消音特殊ピストル

現代の拳銃と言えば、大まかに半自動と回転式の二つに分別できますが、この拳銃はどちらにも属しません。
ではどのように特殊なのか、説明していきたいと思います。
VP-9とはVeterinary Pistol 9mmの略です。つまり『獣医が動物を安楽死させるための拳銃』というのが建前です。
では本音は何か、それは音も無く敵に致命傷を与える目的の拳銃です。
写真を見てもらえば解りますが、サプレッサーが組み込まれています。


そして作動方式は手動で装弾数は5発+1発で、グリップがマガジンになっています。


このような性格から、通常のサイドアームとしての使用は無理ですが、通常の拳銃では成し得ない任務をこなす事が可能です。
『おかしいな、通常の拳銃にサプレッサーを付ければ同じだし、連射もできるじゃないか』という声が聞こえてきそうです。
それは確かにそうなのですが、通常の拳銃にサプレッサーを取り付けると、まず全長が長くなりかさばってしまいます。
レンジャー連隊が採用しているグロック22の特殊拳銃がまさにそうで、Crye社製のGun Clipホルスターなどは、サプレッサーを装着した状態で携行できるように特別に設計されたホルスターです。
(普段はサプレッサーは専用パウチに入れて、拳銃とは別々に携行する)
VP-9はサプレッサーが組み込まれているので、全長は普通の拳銃とそれほど変わりはありません。
それからアクションの音が意外とうるさく、これも無音に近い状態で任務を行いたい場合には障害となります。
そのために音がしない手動が採用されました。



またVP-9と同時に開発された特殊ショルダーパウチがあります。
これはVP-9がスッポリとおさまる三角形のパウチですが、よく見ると前部に穴が開いていて、サプレッサーの銃口が覗いています。
後部にポケットに手を突っ込む感じで入れると、グリップを握る事ができ、そのままVP-9を露出する事無く、人ごみでも目立たずに必殺の一弾を敵に対して無音で撃ち込めるという寸法です。
一歩間違えば犯罪者が泣いて喜ぶ拳銃だけに、販売は政府機関のみに限られています。間違った人間の手に渡れば、大変な事になるからです。



隠匿する必要が無い場合、光学照準機器が必要な場合は、サプレッサーに専用リングマウントを取り付け、そこにライトやレーザーを搭載する事も可能です。
同類の拳銃は第二次大戦時に限定的に存在したのと、60年代に中国が64式微声手槍というのがありましたが、当時はサプレッサーの技術がプアで、それなりの音が聞こえたそうです。
VP-9は特殊な使い捨てバッファーを5個サプレッサーの中に搭載して音を殺しますので、無音とまでいきませんが、都会の雑踏の中で発射したら気がつく人はまずいません。
使用は限定されますが、精鋭部隊にはこのような拳銃が武器庫にあってもいいと私は思います。
今回はB&T社製の特殊拳銃、VP-9を紹介しました。





B&T VP-9 PISTOL


タクティカル プロショップ・エリート

エリート・オンラインショップ
  

Posted by ELITEMASTER  at 14:16Comments(0)装備品・訓練