2014年05月30日

軍隊とフィジカル・フィットネス-クロスフィット


軍というと、ちまたの雑誌では、どうしても特殊部隊が使用する銃器類や装備に注目が集まってしまいます。ですが、精鋭部隊の軍人たちがそれらの装備を使いこなすには、強靭な肉体が必要不可欠です。先日、あるサバゲのゲーマーがこんな事を教えてくれました。あるマニアがサバゲにSAPIプレート、ヘルメットを含め、銃器以外は本物の米軍完全装備で現れたのですが、1ゲーム終わった後に汗だくになってバテてしまい、結局それらを外す羽目になってしまったそうです。完全装備を身に付けた経験のある人ならわかりますが、ズッシリと重く、一般人なら立っているだけで辛いものです。私自身、初めてM60機関銃を手にした時、弾が装填されていないのにその重さに驚いたのをよく覚えています。『こんな重い物を持ってどうやって動き回るんだ?』と驚いたのと同時に、身体を根本的に鍛えなければ、と痛切に感じました。19歳で士官候補生1年生の時の話です。
その後は格闘技の訓練と平行に、走り込みと腕立て伏せ、腹筋からなる軍隊式トレーニングを行ってきましたが、試行錯誤の連続でした。ですが数年前、ある答えが自分の中で出た気がします。それがクロスフィットでした。



クロスフィットとは、2000年にアメリカで始まった、全く新しいコンセプトのトレーニングで、全身の筋肉を使った実用的な動作を鍛える目的のトレーニング方法です。これをファンクショナル・ムーブメントと呼びます。従来のウエイトトレーニングでは、例えばベンチプレスなら大胸筋のみを鍛え、その他の筋肉は遊んでいます。クロスフィットは筋力、スタミナ、柔軟性、スピード、バランス、などをコーディネートしながら身体能力を総合的に鍛えていきます。主な内容はバーベルやケトルベルを使用したウエイトリフティング、腕立て伏せや懸垂など自重を使用したジムナスティック、縄跳びや400m走などからなるメタボリック・コンディショニングの三部構成となっており、トレーニング時間は1時間のプログラムで、毎日メニューが異なります。
私が最初にクロストレーニングを経験したのが5年ほど前ですが、あまりにもハイインテンスなトレーニングによって身体が脱力し、その後三日間はまともに動けませんでした。同時に軍人として必要なトレーニングはクロスフィットだと、文字通り身体でわからされました。クロスフィットは実際に、サンタクルーズ警察が最初に採用し、現在のアメリカでは多くの警察機関が採用しています。米陸軍においても数年前から基地内のジムにはクロスフィットのエリアが設置されるようになりました。
私は毎日ではありませんが、格闘技の訓練と並行してクロスフィットを行っています。身体能力は見違えるほど高くなり、そのおかげで40歳になった今も、フルコンタクト空手の大会に現役選手として出場できるほどの体力を維持できています。日本滞在中は、西麻布にあるReebok Crossfitジムで、ニコラス・ペタス氏(第五回極真空手世界大会5位)よりクロスフィットを習っています。



日本においてはまだそれほど普及してはいませんが、クロスフィットこそ軍隊式フィットネスの答え、というか最大公約数であると私は確信しています。自衛官の方たちや警察官の方たちには、是非ともお奨めしたいトレーニング方法です。クロスフィットは様々な分野のコーチやアスリートたちの経験やトレーニング方法をシェアし、現在も進化を続けています。その最先端のトレーニングは、これから精鋭部隊を目指す若者たちの最短で最良のトレーニングだと言えるでしょう。余談になりますが、プロ野球の清原和博選手が肉体改造に失敗したのは、変なトレーナーに付いて、間違ったトレーニング方法により、筋肉は付きましたがそれ以上に脂肪も付けてしまった結果だと思っています。清原選手が本当に必要だったのはクロスフィットであり、もし正しい選択をしていれば選手生命が大きく違ったものになっていたのは間違いない事実だと思います。
クロスフィットは何も軍人や警察官だけでなく、あらゆる競技のスポーツ選手に有効であり、一般人が健康を保つ目的にも適しています。みなさんもぜひ機会があればチャレンジしてみて下さい。

飯柴



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Posted by ELITEMASTER  at 12:10Comments(0)インストラクター